特有財産の立証に成功して調停で有利な条件を得ることができた事例【離婚解決事例60】
50代の夫婦で妻が依頼者。
別居後に妻が弁護士を立てずに申し立てた婚姻費用の調停が成立するも、途中から未払の状態が続いていた。
夫から婚姻費用の変更を求める調停とともに、離婚調停の申立てがなされ、この時点で受任。
同居中の他方の名義の財産がどのようなものであったかを互いに全くわからない状態であった。
ただ、別居直前に妻名義で不動産を購入していたため、夫は妻から財産分与を受けることができ、未払の婚姻費用についてはこれと相殺することができると考えている模様であった。
しかし、不動産は妻が親族から経済的援助を得て購入したものであり、そのことを妻や親族の通帳、その他の資料から証明することが可能であった。
それによって、この不動産は妻の「特有財産」であるとして財産分与の対象から外すことができ、夫から財産分与を受ける内容の調停が成立した。
また、この調停離婚の成立に先だって、婚姻費用の未払分も一括で支払を受けることができた。
コメント
夫や妻の名義の財産は財産分与の対象となる夫婦の共有財産であると推定されます。
そのため、財産分与の対象とはならず「特有財産」であると主張する側に、そうであることの立証責任があります。
この立証が困難を極めるケースもあります。特有財産の混入が古ければ古いほど立証が難しくなります。
本件のように同居中に妻が不動産を購入している場合は、その購入資金が預金の動きなどから夫婦の共有財産ではないことを客観的な資料から証明することが求められます。
本件では、仔細に検討するとその証明が可能であったことから、資料を整理して証拠として提出するとともに、特有財産であることを明快に説明する主張書面を作成して提出しました。
これによって不動産が妻の特有財産であることを夫側が積極的に争うことはありませんでした。
また、未払の婚姻費用を一括で支払うことを離婚成立の条件として突きつけていたため、調停離婚成立の直前に全額の支払を受けることができました。
他方、夫名義の財産の解明は難航しました。
金融機関の調査嘱託も活用しましたが、それほど奏功しませんでした。
相手方名義の財産の糸口を掴んでおかないと財産分与で苦労することになります。
公平な財産分与を受けるためにも、早めに離婚問題に精通した弁護士に一度相談することをお勧めします。
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