会社経営者のための離婚相談

  経営者の離婚

会社経営者の離婚の場合,サラリーマンや公務員の場合とは異なる問題がいくつかあり,注意が必要です。

預貯金や保険(解約返戻金),有価証券,動産(貴金属,美術品など),自動車,不動産,退職金などが財産分与の対象となり得ることは,サラリーマンや公務員の場合と同様ですが,会社経営者の場合,こうした財産が,様々な形で,またその多くが会社名義で保有されていることがあります。

 

これらが実質的には経営者個人の財産と評価される場合もありますので,会社名義の資産も含めて,資産状況を正確に調査する必要があります。

そこでは,会社の決算報告書を確認することが出発点となります。

なかには節税などの目的から多数の会社を設立しているケースもあり,その場合はいかなる会社にどのような資産が保有されているかを把握することが必要となります。

 

経営者の離婚の財産分与の割合

財産分与の割合につていは,2分の1ずつとするのが原則で,最近では妻が主婦である場合も,この原則が適用されることが多いです。

 

ただし,配偶者の専門性や特殊な能力・技能によって特に高額の資産が形成されたと認められる場合,この2分の1の原則が必ずしもあてはまらず,その場合には,資産形成に対する寄与分に応じて,2分の1を下回る割合での財産分与となる場合があります。

裁判で認められた具体例として,夫婦どちらも芸術家としてそれぞれ活動し収入を得るとともに,専ら妻が家事を負担してきたことなどを考慮し,妻の分与割合が6割となったケース,夫が医療法人の理事長として医療施設を経営しており,その手腕や能力による寄与度が大きいとして妻の分与割合が2分の1を下回ったケースなどがあります。

 

会社経営者の婚姻費用や養育費

別居中の生活費(婚姻費用)や離婚後の養育費を検討する際に,裁判所が作成した養育費・婚姻費用の算定表が実務でも活用されています。

婚姻費用と養育費のおおよその金額は,この算定表に双方の収入をあてはめて算定されます。話し合いや調停の場でも,この算定表が用いられるのが一般的です。

 

算定表は給与所得者では2000万円までとなっていますが,会社経営の場合,それ以上の収入を得ている高額所得者であることも珍しくありません。
このような算定表にあてはめることができない場合の婚姻費用や養育費の算定方法については様々な考え方があります。また,算定表の上限を僅かに上回る場合もあれば遙かに上回る場合もあります。

同居中の支出状況なども考慮されることが多く,ケースバイケースで考察する必要があります。

 

会社経営者の離婚と会社経営

婚姻中に形成された資産は,財産の種類や,所有名義が誰かを問わず,夫婦共同で形成されたものとして財産分与の対象になります。

つまり,会社経営者の場合,経営する会社の株式や持分も財産分与の対象となります。

また,夫婦共同で会社を経営している場合など,会社の株式や持分を夫婦で保有している場合もあります。

 

会社の株式・持分は,財産であると同時に,会社の支配権に直結する地位でもあることから,離婚の際に,株式をどのように分与するかの問題を解決しておかないと,離婚後の会社経営がトラブルを抱えることになりかねないため,注意が必要です。

 

また,中小企業が多い日本の会社では,配偶者を取締役や監査役といった役員にしたり,従業員として雇用しているケースが多いのですが,離婚した場合に,それを理由に,元配偶者を解任したり,解雇したりすることが問題となります。

 

①元配偶者が従業員の場合

離婚のみを理由とした解雇はできません。なぜなら,労働者の解雇には合理的な理由と社会通念上の相当性が必要とされ(労働契約法16条),離婚だけでは合理的な理由があるとはいえないからです。

離婚したからというだけで解雇してしまうと,不当解雇として元配偶者から損害賠償を請求される可能性があります。

 

 

②元配偶者が役員の場合

任期途中で解任するときは株主総会解任決議が必要です(会社法339条1項)。

こうした手続をとらずに元配偶者を解任してしまうと,不当な解任として,やはり,元配偶者から損害賠償を請求される可能性があります(同条2項)。

また,解任決議には一定数以上の株式を持つ株主の賛成が必要であることから,財産分与のところで述べたように,株式の財産分与の問題と絡んで複雑な問題が発生することがあり,特に注意が必要です。

 

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