離婚訴訟の長期化は「悪」か? 2017/7/25
コラム159と同じテーマを異なる弁護士がとりあげます。
同じようなことを言っていますが,微妙に違うところもありますので,ご一読いただけますとありがたいです。
最高裁判所の報告によると,昨年(平成28年)の離婚訴訟の一審の平均審理期間が12.3か月であり,これは平成16年以降で最も長いとのことです。
ちなみに,この平成16年は離婚訴訟が家庭裁判所の管轄となった年です。
そう言われても一般の方はピンと来ないと思いますが,それまでは離婚訴訟も地方裁判所で扱われていたのです。
この審理の長期化の要因として,報告書では,財産分与のための預金取引履歴の開示を巡って対立したり、離婚原因について主張の応酬が繰り返されたりすることが指摘されています。
たしかに財産分与が争点となった場合は,どうしても長期化しがちです。
主張立証がどんどんと広がっていて,収拾が付かなくなるケースもあります。
熟年離婚で財産分与対象財産が多岐にわたり,また財産の形成期間が長くなると話が複雑さを極めます。
そして,親権が争われている事件も,調査官調査を実施するとなると,調査に要する時間がかかることになります。
親権と財産分与の双方が激しく争われようものなら,必然的に審理は長引きます。
また,離婚原因に関連して慰謝料請求がなされると,その反論・再反論が延々と繰り広げられることもあります。
しかし,担当する代理人弁護士や裁判官の心がけというか意識次第で,このような事態は大幅に改善する余地があるように思われます。
ただ,離婚訴訟の場合は,いろいろな思惑から一方が早期の解決を望んでいないこともあります。その場合は審理がスローペースとなりがちです。
この場合は,いかにしてペースアップを図るかがポイントになります。
また,これも離婚訴訟の特徴なのかもしれませんが,時間をかけて和解を試みることがあります。
子どもがいる場合は特にそうですが,話し合いで終わらせることができるのであればそうするに越したことはありません。
また,判決となっても実は解決に結びつかないケースもなかにはあります。
そして,離婚訴訟は関係者の感情の動きもダイナミックなので,時間をかけて調整を図る必要があるケースもあります。
調停離婚が成立しなかったケースが訴訟になるわけですが,ここでは最終的な判断者が調整を図りますので,調停ではどうやってもまとまらなかったケースでも和解に至ることもあります。
私が関わっている案件はこの平均よりもかなり長くなってしまう案件と短期間で終わる(こちらは和解で終わることが多いです)案件とに分かれるような気がします(その意味では平均するとこの最高裁の平均審理期間あたりに落ち着くのかもしれません)。
一般的には早く終わるのが好ましいとは言えますが,まさにケースバイケースなので,ただただ早く終わらせるのが好ましいものでもないとは感じています。
バックナンバーはこちら>> |