支払われなくなった養育費,消滅時効はいつ?-決め方によって時効が異なります- 2017/5/12

 

「7年前に離婚しました。離婚時に養育費の取り決めをしましたが,離婚直後から支払われなくなりました。元夫と接触をもちたくなかったので放置していましたが,息子も中学生になり色々とお金がかかるようになってきました。これまで支払ってもらえなかった分の養育費も請求できるのでしょうか?」

 

養育費の金額の取り決めをしていれば,過去の養育費を請求することも可能です。
ただ,どの時点までさかのぼって請求できるかは,養育費の取り決めの方法によって異なってきます。

 

協議によって決まった養育費は,民法169条の定期給付債権に該当し5年の経過により時効消滅するとされています。
したがって,5年前の分までは請求可能ですが,それ以前の分は元夫が時効を援用すれば請求できなくなります。

 

一方,家庭裁判所の調停,審判,裁判によって養育費の金額が決まった場合には,この養育費請求権は,民法174条の2の判決等で確定した権利に該当し10年の経過により時効消滅するとされています。
したがって,この場合は上記の例でいうと支払われなかった7年分の全額を請求することができます。

 

このように,養育費の取り決め方によって消滅時効の期間が異なります。
また,養育費について公正証書を作成していたとしても「判決等で確定した権利」には該当せず,5年の経過により時効消滅してしまいます。この点誤解しやすいので注意して下さい。

弁護士 辻 祥子

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