婚姻費用において分担すべき子どもの学費について抗告審で正しく評価された事例【離婚解決事例29】
【キーワード】婚姻費用 子どもの学費
40代の夫婦。妻側が依頼者
婚姻費用の額をめぐって折り合いがつかなかったため調停が不成立となり審判に移行した。
争点はともに私立中学に進学しているふたりの子どもの学費の分担であり,相手方は依頼者の親が援助することになっていたなどとして,下の子どもの学費までは分担する義務がないと主張した。
原審判は相手方が下の子どもの進学を承諾していたものの依頼者の親への援助依頼が前提となっていたなどとして,下の子どもの学費までは分担する義務がないと判示して,月額18万円とする決定を下した。
もっとも,原審判には,下の子どもの学費までは分担する義務がないとしながらも一部相手方に分担を求める計算となっていること,依頼者の親が援助することを約束した事実などないことが看過されていることなどの問題があったため,即時抗告することとなった。
抗告審では,このような抗告理由が受け容れられて,原審判が取り消されて月額22万円とする判断が示された。
コメント
双方の収入や子どもの数・年齢をもとに,いわゆる婚姻費用についての算定表を形式的に当てはめると,月額13~14万円となる事案でした。
しかし,子どもがふたりとも私立中学に進学しており,多額の学費が発生することから,特別費用として,この学費についても相手方に分担を迫ったケースでした。
私立中学への進学を相手方が承諾していた場合には,基本的には,学費についても収入に応じて分担すべき義務が生じることになります。
本件では,依頼者の親が学費の援助をする話になっていたとして,相手方はその分担を拒否しましたが,依頼者の親が援助することを約束したことを裏づける証拠がないことから,原則どおりの判断が高裁では示されました。
このように婚姻費用については算定表がありますが,様々な修正要素がありうることから,注意が必要です。
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