「先手不利!?」-離婚を切り出すタイミング 2023/03/08

 

コラム218

 

将棋の藤井聡太さんの先手の勝率が驚異的だという報道がありました。
将棋の世界では、先手を打つ方が有利になる傾向があるのかもしれません。

 

離婚の相談を受けると、これとは反対に、「離婚を先に切り出すと不利にならないでしょうか」という声をよく聞きます。

はたして、離婚に関して「先手不利」ということがあるのでしょうか。

 

結論から言うと、離婚を先に切り出すことによって、直ちに不利な立場に置かれるということはありません。

 

法律の世界には「離婚の原因を作り出した方(有責配偶者といいます。)から離婚を求めることは、原則として許されない」というルールが存在しますが、どうやらこれが誤解を招いているようです。

 

このルールが典型的に想定しているのは、例えば自ら不貞に及んだうえで、不貞相手と一緒になるために離婚を求めるような、離婚を認めると明らかに信義に反する事情があるケースです。
このような事情がなく、単に離婚を先に切り出したというだけでは、「離婚の原因」を作り出したことにはならず、不利に扱われることはありません。

 

もっとも、十分な見通しを立てないまま離婚に切り出してしまうと、実際の離婚までの道のりが想像と異なることや、離婚後に経済的に困窮するなど、思いも寄らない壁にぶつかることがあります。

 

そのため、離婚を切り出すタイミングはとても重要です。

離婚までの道のりや、離婚後の生活について具体的なイメージを持ち、さらに準備を整えたタイミングで離婚を切り出すことが望ましいです。

 

離婚までの道のりや離婚後の生活は、個々の事案によって異なり、インターネットから得られる情報だけでイメージを持つことには限界があるため、弁護士に直接相談なさることをお勧めします。

                                           

                                                 弁護士 山崎 悠

 

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