コラム 83 風雅な裁判所 -京都家庭裁判所と旧三井家下鴨別邸- 2016/9/30

 

コラム 83 風雅な裁判所 -京都家庭裁判所と旧三井家下鴨別邸-2016/9/30

 

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                               日経新聞より転載  

写真の風雅な邸宅は,どこにあると思われますか?

実は,この建物は,京都家庭裁判所(京都市左京区)の敷地内にあります。
この建物は,元々は三井財閥を築いた三井家が所有していた建物です。1880年に木屋町三条(京都市中京区)に三井家の別邸として建てられたものを,1925年に現在の場所に移築したそうです。その時代,現在京都家庭裁判所の敷地となっている一帯は三井家が所有しており,戦後,財閥解体により国有となった後,京都家庭裁判所が建てられました。家庭裁判所が建てられた後,この旧三井家別邸は,2007年まで家庭裁判所の所長の官舎として使用されてきました。

私が司法修習生として初めて京都家庭裁判所に行ったとき(2002年),裁判所の窓から見える木立の隙間から見え隠れしている風雅な木造住宅が所長の官舎だと聞いておどろきました。偶然にも雪天で屋根に雪がうっすら積もっている様子は水墨画のようでした。

2007年に官舎として使われなくなった後は,取り壊されるとか,競売にかけられるとかいろいろな話が耳に入ってきました。
2007年,京都弁護士会の公害環境委員会のまちづくり部会のメンバーが,保存に向けての活動の一環として邸宅の見学に行きました。当時,私もメンバーに入っていたので参加しました。
三階の望楼は,四方がガラス窓になっており,ここで月見や送り火を眺めたらたいそう気分がいいだろうなと思いました。

その後,2011年には国の重要文化財に指定され,京都市の管理により保存されることになりました。
京都市などにより建物は修繕され,この10月から一般に公開されるそうです。

現在は,この邸宅と家庭裁判所の建物の間には塀が設けられて敷地が分けられており,家庭裁判所から邸宅を眺めることができなくなっています。
以前,見学に行った際には,庭の池は干上がっており,庭も地面がむきだしで無造作に車が駐車されているような状況でした。
しかし,今回,写真を見ると,庭には苔(芝生?)が敷き詰められ,池は水をたたえており,美しく整備されています。
なお,11月19日~12月4日の間は,通常は非公開の2階の座敷や3階の望楼も特別に公開されるそうです。

弁護士 辻 祥 子

 

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