米俳優チャーリー・シーンが養育費の滞納から解放される日は? 2016/4/19

 

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日本では既に「過去の人」の観のあるチャーリー・シーン。実に月額約600万円もの養育費を支払う約束を7歳の双子の男児の母にしているそうです。
ただ,その約束をした時点では,なんと毎月約6700万円の収入があったそうです。
それが月額1000万円弱にまで減収となったため,養育費を支払い続けることが困難となったとのこと。
しかも,この件とは別に,元妻との間のふたりの娘に対しても高額の養育費を支払う責任があるとのことで,彼はキャッシュフローがまわらない状態にある模様です。
桁が2つくらい違うでしょうが,このような事態に陥っている人は日本でもたくさんいるはずです。

一度決められた養育費を最後まで必ず支払わなければならないのかというと,そんなことはありません。
養育費を決めた後に「原則としてその時点では予見できなかった」「事情の変更」があれば,養育費の金額の変更を求めることができます。減額になることもあれば,増額になることもあります。
話し合いで変更ができなければ,家庭裁判所に調停や審判の申立てをすることになります。
チャーリーのようなケースは,取り決めをした時点で減収が予見できないものであれば,養育費の減額を求めることができます。

取り決めをした時点では予見できなかったような事情の変更があることが原則として必要ですので,離婚したいがために相当無理な金額の養育費の約束をしたような場合は「やっぱり払えないから。」という理由だけでは,養育費の減額が認められない可能性があります。

ただただ離婚したいという思いから,後先を考えずに離婚後の自分の生活設計まで頭が回らずに高額な養育費の取り決めをする人(男性)が時々います。
明らかに支払を続けることができないような異様に高額な取り決めであれば,裁判例でも,格別事情の変更がなくとも養育費の減額が認められたケースもありますが,それはむしろ例外であると言えます。
せっかく離婚できても,その後の生活が立ち行かないということであれば,元も子もないことになりますので,いくら離婚したいからと言っても無理な約束をすることは禁物です。

また,過大な養育費の約束の「リスク」は,養育費を払ってもらう側にも当てはまります。
少しでも多く養育費を支払わせたいという思いはわかりますが,たとえば手取り収入の半分を超えるといった負担感の強い内容になると,当然のことながら,早々に不払いとなるリスクは高まります。
任意に支払われなくなった養育費の回収をはかることは日本では必ずしも容易ではありません。
ですので,負担として大きすぎない養育費の金額にとどめて,安定的に支払わせる,というのも有効な「戦略」であると言えます。

※写真はニューヨークのウォール街です。チャーリーシーンの代表作にちなんでいます。

弁護士 大川 浩介

 

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