三船美佳さんと高橋ジョージさんのケースにみるモラハラ裁判の真相 2016/4/5

 

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マスコミを騒がせていたおふたりの離婚裁判は約1年で決着をみました。
報道では,協議離婚が成立し,裁判は取り下げられたということです。

裁判まで進んでも最後は協議離婚という結末を迎えることはよくありますが,その場合,訴訟上の和解として協議離婚の合意をすることが多く,訴訟自体を取り下げることは稀です。
おそらく期日間に事実上合意したうえで協議離婚を成立させた後に訴えを取り下げたものと推測されます。

三船さんは,離婚理由として,高橋さんのモラルハラスメントの事実を主張していたようですが,相手方が事実関係や離婚自体を争うなかで,判決でモラルハラスメントの主張が認められて離婚が認められることは異例であると言えます。
15 モラルハラスメント被害を主張して,判決で離婚慰謝料の支払が命じられた事例

モラルハラスメントは家庭という「密室」のなかで行われるのが一般的であり,その事実を客観的に証明することは容易ではありません。

審理がやや長期化しているところからすると,三船さん側には決定的な証拠はなかったように思われます。
他方,モラルハラスメントの事実がなかったとしても,このまま別居が続けば,高橋さんがいくら離婚を拒否しても,いずれ近い将来,別居の長期化・固定化などの事情から婚姻関係が破たんしているものとして離婚が認められることになります。
これまでの審理は非公開で実施されていましたが,尋問は公開の法廷で行われることになります。
尋問は回避したいという点ではふたりの利害は一致していたことでしょうから,行き着くべき地点にたどり着いて離婚の合意をみたというのが実際のところかと思います。

このような解決ですので,結局,モラルハラスメントがあったとは言えないが,反対になかったとも言えない,という落着となります。
これがモラルハラスメント絡みの裁判の多くがたどる道です。

よく「モラルハラスメントの証拠がないから離婚できない」という言い方をされることがありますが,これは不正確で,実際には,モラルハラスメント以外の要素や事情も相まって結局は離婚成立まで行き着くことが多いです。
モラハラ(モラルハラスメント)とは?

 

弁護士 大川 浩介

 

 

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