配偶者の不貞相手に離婚の慰謝料請求はできない…?!最高裁判決 その① 2019/03/07
つい先日(2019年2月19日),最高裁が,配偶者の不貞相手に対する離婚の慰謝料請求を否定するという判決をしました。
これまで下級審では不貞相手に対する離婚慰謝料請求は当然のように認められてきており,実務でも概ねそのように運用されてきました。
今回,この点について最高裁判所がこれまでの下級審とは異なる内容の判断を示したので,新聞などでは「画期的」な判断だと評されています。
今回,判断された事案は次のようなものです。
平成6年 夫婦が婚姻
平成21年 妻が勤務先の上司と不貞関係になる
平成22年 夫が不貞関係を知り,同じ頃,妻と上司は不貞関係を解消
平成26年 夫と妻が別居
平成27年 夫婦が離婚
夫が,不貞相手の上司に対し,不貞を契機に夫婦関係が悪化して離婚に至ったとして離婚に関する慰謝料を請求し,一審,二審とも夫の主張を認めたので,不貞相手の上司が最高裁に上告をしたという事案です。
最高裁は,今回の判断につき理由の中で
「夫婦が離婚するに至るまでの経緯は当該夫婦の諸事情に応じて一様では無いが…(略)…離婚による婚姻の解消は,本来,当該夫婦の間で決められるべき事柄である」ので,「夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者は,これにより当該夫婦の婚姻関係が破綻して離婚するに至ったとしても,当該夫婦の他方に対し…(略)…直ちに,当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと解される」と述べています。
確かに,この事案では,不貞関係が夫の知るところとなった直後に妻と上司は不貞関係を解消しており,その後,不貞関係の解消から別居まで4年,離婚まで5年の月日が流れていることを考えると,「離婚は夫婦の問題でしょ」という最高裁の判断理由も頷けるところがあります。
ただ,この判決文を読んで,「離婚は夫婦の問題でしょ」で片付けられないような事案もあるのではないかという疑問が浮かびました。
長くなりそうなので,次回に続きます。
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