相手に無断で離婚の届出をするような「悪手」は打たないで! 2019/02/01

 

 

コラム20190201

夫に無断で離婚の届出をしたとして,妻が私文書偽造罪などで逮捕されたというニュースがありました。

離婚届用紙の夫の分も妻が署名押印したという容疑です。

役所に出向かなかった当事者のもとには,役所から離婚の届出があったことの通知が送られてきます。

別居中の夫がこの通知を受けて届出の事実を知ったということです。

 

この事案のように,他方に無断で他方の分の署名押印もして離婚の届出をしたというケースは時々目にします。

そのまま他方が追認して成立した離婚がくつがえらないこともありますが,もちろん問題となることもあります。

相手方は離婚の無効を主張することができます。

こちらが相手の分の署名押印したとなると,それについての了解を得ていたことをこちらが立証しなければなりません。

それが立証できずに離婚が法的には無効とされることは少なくありません。

 

このような事態となると何かと不利な状況に追いやられることになります。

今回のように逮捕までされることは珍しいかもしれませんが,刑法上,偽造罪などに問われるおそれもあります。

もしもその後に再婚していたら,離婚が無効とされると「重婚」状態となり,再婚が取り消されることになります。

 

どうしても離婚したいという気持ちはよくわかりますが,相手が離婚に応じない場合は,結局くつがえされてしまうので,自分の立場を弱くしないためにも,勝手に届出をするという「悪手」だけは打たないようにしていただきたいものです。

                                            

                                               弁護士 大川 浩介

 

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