ノックアウト勝ちは本当の勝利か? 2016/11/29

 

コラム 100  ノックアウト勝ちは本当の勝利か?  2016/11/29

 

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私が前回担当したコラムにひきつづき,エッセイストの紫原明子さんのインタビューでの発言をとりあげさせていただきます。
コラム 98 公正証書は離婚のマストアイテムか? 2016/11/22

このインタビューのなかで私が最も賛同したのが,彼女のこの言葉です。

「夫婦の関係性を完全に断つ前に離婚したほうがいい。養育費含め、その後のやり取りはずっと続くし、子どもたちのお父さんである以上、関係は切れませんからね。私は両親の問題と子どもの問題は分けて考えたいなと思っています。」

激しく賛同したので,もう一度引用します。

「夫婦の関係性を完全に断つ前に離婚したほうがいい。養育費含め、その後のやり取りはずっと続くし、子どもたちのお父さんである以上、関係は切れませんからね。私は両親の問題と子どもの問題は分けて考えたいなと思っています。」

離婚することになり激しい葛藤状態となってしまうのはやむを得ないのですが,どこか冷静な部分,理性的な考えを失わないことか大切です。
ボクシングでたとえるならば,相手が失神するまで容赦なくパンチをくりだしてノックアウト勝利をおさめたいところですが,そこは判定勝ち程度にとどめるのが理想的と言えば理想的です。

特にお子さんがいる場合はこのことが強く当てはまります。
その後も関係が続く以上,不必要に敵対的な関係を続けることはお互いのためにはなりません。

私は,お子さんがいないなどのため,今後の関係性を考慮しなくてよい場合であっても,ノーガードの打ち合いを演じるようなことは避けた方が望ましいと考えています。
それ自体かなりのエネルギーを消耗しますし,そこまで攻撃的になってしまうことは今後の人生にもよくない影響を及ぼすおそれもあるように感じています。

この瞬間の一時的な感情だけで決めるのではなく,長期的にみて望ましい解決のありかたをじっくりと考える必要があります。
もちろん,感情の持っていきようも大切です。そこを無理に抑え込んで解決しても却って尾を引くこともあります。
要はこのあたりのバランス感覚を大切にしなければならないということです。

これをひとりで考えるとなるととても苦しい思いをすることもありますので(ここでダメージを負ってしまうことも少なくありません),近親者や気の置けない友人,弁護士らと話をしながら,ものごとを整理していくことをお勧めします。

弁護士 大川 浩介

 

 

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