婚姻費用において住宅ローンの負担や既払分が抗告審において正しく評価された事例【離婚解決事例27】
【キーワード】婚姻費用 住宅ローン
40代の夫婦。夫側が依頼者。
婚姻費用の額をめぐって折り合いがつかなかったため調停が不成立となり審判に移行した。調停の途中から受任。
夫は妻が居住する自宅の住宅ローンを負担し続けていたが、原審判は婚姻費用額を定めるにあたって,諸般の事情を考慮するなどとしてこの点を全く評価しなかった。 また,原審判は,妻が調停を申し立てた後に夫が過大な婚姻費用を負担していた分についても,その精算を求めることが妻に予期せぬ不利益を及ぼすものとして一切考慮しないとの判断を示した。 しかし,抗告審では,住宅ローンの負担の一部を婚姻費用の分担として評価するとともに,過大な婚姻費用を支払っていた点を考慮して,一定期間の婚姻費用の支払義務を免れさせる形で精算する判断が示された。
コメント
このように家裁の判断が高裁で覆されるケースも時々あります。高裁での判断を仰ぐためには2週間以内に「即時抗告」という手続をとる必要があり,3~4か月程度で高裁の結論が下されることが多いです。
本件のように夫が住宅ローンを負担しているからといって,その負担額すべてが婚姻費用を分担しているものとして評価されることは一般的ではありません。その理由としては,住宅ローンを返済することが夫の資産形成の側面もあるとされていますが,必ずしも説得的な理由ではありません。 その意味では,同じ別居であっても,反対に妻が自宅を出て賃借住居を借りて自ら家賃を支払っている場合に比べると,妻にとって有利な結論になるといえます。
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