コラム 86 「103万円の壁」はいつになったら崩壊するのか?

コラム 86「103万円の壁」はいつになったら崩壊するのか?  2016/10/12






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 「配偶者控除」は,平たく言えば,妻の年収が103万円未満であれば,夫の所得から38万円を控除するというものです。その分だけ夫の課税所得が小さくなるので,納税額も減ります。
 この103万円は,基礎控除65万円と給与所得控除38万円の合計額に相当します。つまり,この103万円を超えなければ,妻の給与自体も非課税となります。
 妻の給与収入が103万円を超えてしまうと,この「恩恵」が受けられなくなるため,「103万円の壁」などと呼ばれています。

 この配偶者控除が廃止される(新たに「夫婦控除」という仕組みを設ける)のではないかと注目されましたが,結局,来年度の税制改正でも,この問題は先送りされました。

 妻の年収を103万円未満のパートに抑えることは,子どもがまだ小さいといった事情などから,働き方の選択肢のひとつであると言えます。
 ただ,この「103万円の壁」を超えてしまうと,ある程度年収を上げないと,夫婦全体としては却って損をするという歪な仕組みとなっています。
 その結果,働く意欲や能力があっても,この壁の枠内で自主規制してしまう主婦が生まれる結果となっています。

 離婚する場面でも,妻の年収がこの壁の枠内にとどまっていることが障害となるケースが少なくありません。
 もちろん離婚にはデメリットもあるわけですが,「自分の収入が少ないから離婚できない」といった事情から離婚という選択肢が奪われてしまうことがあります。
 しかし,そのような,ただただ消極的な理由から継続する婚姻生活にどのような意味があるのか,疑問に思います。
 「離婚しても自活できるけど,やはり離婚しない方が良いと思うから離婚しない。」という話にならないと,価値ある婚姻生活を送ることは難しいはずです。

 離婚する,しないにかかわらず,働く意欲や能力がある妻がこのような「壁」を意識せずに済むような環境整備を早急に行う必要があるように思えてなりません。
 国のしくみによって夫婦のライフスタイルを規定する側面のあるこの「配偶者控除」には違和感を拭えません。

 でも,いざ廃止しようとすると政治的なブレーキがかかるのが常で,この「103万円の壁」という「壁」を壊すことは容易ではなさそうです。
 この103万円を150万円にするといった案も出ているようですが,似たような「壁」を設けるだけのことであって,何ら抜本的な解決になっていないことは明らかです。

弁護士 大川 浩介


 

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