コラム 6 ドラマ「偽装の夫婦」のふたりは離婚するまでは法的に夫婦だったのか?

 

コラム 6 ドラマ「偽装の夫婦」のふたりは離婚するまでは法的に夫婦だったのか? 2015/12/08


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     「考えてみりゃ世の中の夫婦なんてどれも偽装結婚みたいものかもしれないね。永久の愛を本当に誓ったり,互いを支え合う気なんて毛頭ないんだから。子どもがほしいとか,生活の安定とか老後の面倒見てもらうのが目的で,だから一緒にいるのが損だとわかりゃさっさと別れちまう。」 

 日本テレビ系のドラマ「偽装の夫婦」が好評です。

 人気脚本家の遊川和彦さんの手によるこのドラマには印象的なセリフがいくつもありますが,冒頭のセリフは,天海祐希が離婚したと聞かされた時の伯母の言葉です。 

 ガンで余命半年の母を喜ばせる(安心させる)ため,沢村一樹の求めで,天海祐希と偽装結婚するところからドラマが始まります。母のガンも「偽装」であったことが判明し,やがてふたりは離婚届を出して離婚します。 

 「偽装結婚」は法的にどのように評価されるのでしょうか。 民法では,婚姻意思がないにもかかわらず婚姻したときは,その婚姻は無効であるとされています。 

 この「婚姻意思がないとき」とは,昭和44年の判例では「当事者間に真に社会観念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思を有しない場合」を指すとして,婚姻の届出をすることについて合意があったとしても,それが「単に他の目的を達するための便法として仮託されたものにすぎないとき」は婚姻が無効であるとされています。 

 この婚姻意思については学説上争いがありますが,この判例の見解からすると,ドラマのふたりは,離婚するまでもなく,そもそも法的には婚姻としての効力を有していないことになります。実際には離婚無効の訴えなどを起こすことになります。 

 昭和44年の判例のケースは,結婚を誓い合ったふたりの間に子どもも生まれましたが,男性は,両親の強い反対に抗しきれず,結局,他の人と結婚することになりました。

 これを受け容れがたい女性は,せめて子どもに嫡出子(平たく言えば,結婚した男女の間の子どものこと)としての地位を得させたいとの思いから,速やかに離婚するという前提で婚姻届を出すことを男性に求め,男性はこれに応じ,実際に婚姻届が提出されました。 

 このケースでも,婚姻意思がないとして,男性の婚姻無効の主張が認められました。 
 事案をつぶさにみると女性に気の毒な結果なのですが,「予備的反訴」が認められて,当時の物価水準からすると,かなり高額の慰謝料の支払が男性に命じられています。婚約の不当破棄に基づきます。
 

                                          弁護士 大川 浩介






 

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