コラム 59 嫡出否認違憲訴訟

コラム 59 嫡出否認違憲訴訟 2016/6/24






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 生まれた子と父親の親子関係を否定する「嫡出否認の訴え」を父親しか起こせない民法の規定は男女平等を定めた憲法に違反するとして,国に損害賠償を求める訴訟が提起されるそうです。
 民法722条は,妻が婚姻中に生んだ子と婚姻後300日以内に生んだ子は,夫の子と推定するとしています(嫡出推定)。この推定を否定しようとする場合,「嫡出否認の訴え」をする必要があるのですが(民法774条,775条),嫡出否認ができる主体として民法は「夫」のみを定めており,「妻」が嫡出否認をすることができません。

 その結果として,このような事態が生じています。
 暴力を振るう夫から逃げてきた女性が,籍を抜くことができないまま別の男性の子を出産した場合,その子の出生届を提出すると子は夫の子として戸籍に入ることになります。嫡出否認をできるのは夫だけなので,夫が嫡出否認をしない限り,その子の父親は夫ということになってしまいます。そのような事態を避けたい妻は子の出生届を出すことができず,結果として子が無戸籍となってしまいます。

 上記の訴訟では,家庭内暴力を振るう夫から逃れた妻,その子,その子が生んだ子2名(妻からすれば孫)が,妻や子も嫡出否認の訴えができていれば,無戸籍が続くことはなかったとして国に損害賠償を求めるとのことです。

 ちなみに,夫に限定されずに,妻,子でも起こすことができるものとして「親子関係不存在確認訴訟」があります。しかし,これは,子に嫡出推定が及ばない場合に提起できるもので,嫡出推定が及ぶ場合には,「嫡出否認の訴え」によるべきとされており,嫡出推定が及ぶ場合に妻や子が嫡出性を否定できないことになっています。

 訴訟の提起は来月だそうです。どのような議論がなされるのか注目しています。

弁護士 辻 祥 子


 

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