コラム 19 相続法の大規模改正 -深刻な争いを防ぐことができるか-

 

コラム 19 相続法の大規模改正 -深刻な争いを防ぐことができるか- 2016/2/5




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 今回は,新聞に掲載されていた相続法改正の動きについて紹介します。
 政府は相続法(民法の一部)の改正作業を進めており,来年の国会に提出予定とのことです。現在検討されている主要な改正点は,①配偶者の居住権の保証,②配偶者の貢献に応じた遺産分割の実現,③寄与分の見直し,④遺留分の見直し,⑤遺言の見直しです。

 現行の相続法では,相続人が配偶者と子ども達の場合,配偶者の法定相続分は2分の1,で,子ども達も合わせて2分の1(各子どもはこの2分の1を人数で按分)することになっています。
 この現行の相続法によると,相続財産の内容が被相続人と配偶者が居住していた不動産がメインであるような場合,子どもが法定相続分通りの取り分を主張して代償金が払えない配偶者が長年住み慣れた家を売却せざるを得ないといった事態にも成りかねません。
 そこで,配偶者に「長期居住権」を認め,その居住権自体を相続の対象とするといった案が検討されています。(①)

 また,高齢化が進む中で,現行の法定相続割合では残された配偶者の生活保障として不充分ではないかという問題があり,配偶者の法定相続割合を大きくすべきではないかという声がありました。
 もっとも,配偶者といっても,最近は熟年(及び老年)になってから再婚するという事例も数多くあり,再婚後ほどなく相続が発生した場合には,現行の相続割合では高すぎるのではないかという見方もあります。
 これらの観点から,改正においては,婚姻期間が20年以上の場合は配偶者の法定相続割合を引き上げること,婚姻期間中に増加した財産は配偶者の法定相続割合を引き上げ,それ以外の財産は法定相続割合を引き下げるとことを盛り込むことが検討されています。(②)

 確かに,一律の法定相続割合で処理する場合の不都合は排除していく必要はありますが,相続の実務に関わる立場としては,改正案にある「婚姻期間中に増加した財産とそれ以外の財産」を算定する作業がとてつもなく複雑で,かつ相続人間の争いのタネになるといった事態が想定され,少し頭が痛いです。

弁護士 辻 祥 子


 

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